豊洲の地下水問題

豊洲市場

環境基準の最大79倍の有害物質を検出!

東京都は、2014年に始めた全9回の検査について、方法などを検証する方針を固めた。

食の安心・安全だけでなく、あらゆるものの信頼性が暗い影を落とし始め、不審だらけの状況になってきました。

私は測定・分析の研究所を約30年やってきましたが、国が、都合の悪い測定に対して口をつぐみ、一切なかったことにする事態に遭遇しました。

測定依頼者は国の機関、測定は私の研究所。測定の結果、国にとって非常に都合の悪い数値が出ました。

豊洲ではベンゼンが79倍。

私の研究所ではメチレンジアニリンが許容量の20000倍。

国が国民や消費者の安全・安心を守ると信じている人たちには申し訳ありませんが、守ってくれませんし、事実を隠してしまいます。

築地はもっと汚染されているのだから、豊洲が汚染されていても、築地よりましだ。そんな話が聞こえてきます。

そうなのです。

時代の変化に伴って情報が簡単に拡散し、悪いと思ったことを排除する人たちが多くなってきました。役人任せ、政治家任せだった潮流が、個人に引き寄せられてきています。

築地から豊洲への移転は、政治家や都が強引に推し進め、様々なことを隠して強行突破しようとしたのですが、小池さんでまさかのつまずき。

市場側の有力者に話を聞きましたが、東京都の土地を借りて、都と卸売市場が共同体でやっていくこと自体がおかしい。都から土地を買い上げ、卸売市場が独立して運営しなければきちんとしたものはできない。相当の借金を抱えるが、皆で協力して運営できれば、資金回収もできる。だったら、そうしよー!

発がん性の許容量の20000倍を検出した時、国側に、

「国民にこの事実を知らせよう!」

「対応は簡単にできるのだから、やり方をお知らせしよう!」

と、懇願しました。

ところが、一切無視、馬耳東風です。

「国民がパニックになる」

「全国民から国を相手に裁判が始まる」

国は、国民に知らせない方がお得なのです。

わが研究所はしつこく追及し、本まで出してしまいました。となると、一緒に事業は出来ません。3年目に解散です。

豊洲の地下水検査は、2014年から7社が関与。皆、お仲間です。特に検査会社は、依頼主から検査料を頂き結果報告します。我が研究所は一匹狼だったので、測定結果をそのまま報告していました。でも、依頼主は、自分に都合の良い結果以外は求めていません。

2014年11月~2016年5月の7回目までは、全て環境基準以下。8回目で測定機関が変わり、201地点のうち3地点で基準超えのベンゼンとヒ素を検出。そして9回目、入札で検査受注した機関が検査。72地点で環境基準を上回り、ベンゼンが基準の最大79倍検出されました。

仲間は、工事がスムーズに運ぶよう、環境基準以下の検査結果を作成します。でも、仲間でない人は、違う結果を出します。内部検査は信頼性に欠けることがしばしばあります。

都の専門家会議委員は、お仲間です。79倍の数字が出たのに、危険ではないと言います。それなら、環境基準を何のために作ったのか分かりません。当事者になると、環境基準の方がおかしいのです。とにかく、豊洲市場を作って運営することが大事です。安全・安心と環境汚染は、優先事項ではありません。

我が研究所で測定・分析を辞めた理由は、正しい結果をみんなが受け入れないからです。

2008年、土壌から国の基準の4万3000倍のベンゼンを検出したのに、利便性優先で都が無理矢理企業から買い取った市場移転予定地豊洲。危険は承知の上でした。

実は、全国各地の市場で、土壌や地下水から基準値を超える有害物質が検出され、2017年1月18日、姫路市中央卸売市場移転予定地で国の基準値を超える発がん性物質ベンゼンが、土壌から最大630倍・地下水から最大230倍検出されました。出光興産の精油地跡地。

京都市中央卸市場でも2007年、牛の内臓などの洗浄に使っていた水から、市の基準の2倍のヒ素。川崎市地方卸売市場南部市場から2010年に国の基準の最大3~6倍のヒ素や鉛が土壌から検出。

「飲む水ではないので安全」

多くの関係者の共通した考え方です。

「じゃあ、基準なんか作るな!」

だから、数値を調整して発表するのです。